電車の運転士ってきつい?
もう電車の運転士おりたい
この記事では電車の運転士という仕事に対して不安や悩みをもっている読者また電車の運転士の仕事内容を知りたい読者に向けて解説する。
筆者は元JR総合職社員として、駅員→在来線電車の運転士→支社→本社業務を行った後で、大手メーカーに転職。
パワハラや長時間・休日労働から解放され、キャリアアップと10日以上(年3回)の長期連休を楽しむ余裕のある生活を手に入れた。
小さい頃から電車の運転士に憧れて、鉄道会社入社を目指した人も多いと思う。
運転士という仕事が自分に向いているかを確認できるのはもちろん、既に運転士として働くのが辛い状況になった方に対しても、次の一手をどうするか寄り添って解説していきたい。
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電車運転士の仕事はきつい?主な仕事内容は?
- 電車の運転
- 電車の出区点検(出発前の点検)
- 電車の留置や操車場での入れ替え作業
- 異常時、緊急時の列車防護やお客様救護
電車の運転士はただ単に運転をすればいいというわけでもない。
運転するための点検、留置や列車防護などかなり幅広い。
一つずつ解説する。
電車の運転
当たり前だが、電車を運転して安全・快適にお客さんを目的地に連れていくことが一番の仕事だ。
日勤も泊まり勤務もあり、幅広い路線を担当する運転士の場合行路もバラバラ。
私鉄や小さな路線を担当する運転士の場合、1日中同じところを往復する行路だったりで飽きやすいが、あっち行ったりこっち行ったりする行路の場合、変化を楽しむことができる。
行路と行路の合間に数十分から数時間の休憩時間がありますが、この休憩時間もバラバラ。
仕事の開始時間も終了時間も、仮眠する時間もバラバラ。
きつい時はめちゃめちゃきつい。
駅員より不規則な勤務となることが多い
電車の運転で大事なのは運転技術もさることながら、体調管理が一番。
眠気や腹痛により、いつもできている安全運転ができなくなることが本当に危険なので、お酒や睡眠はある程度節制する必要がある。
電車の出区点検
出区点検は「運転開始前に電車に異常がないかを確認する点検」だ。
外から電車の床下にある機器や電車留めの確認を行い、電車の中からもランプ、計器、ドア開閉を確認する。
運転士免許(動力車操縦者免許)取得の際、出区点検を抜け漏れなく行うことも評価の一つ。
見習いの頃は軍隊のような大声で出区点検を行う必要があり、憂鬱だった。
出区点検の様子
TwitterやJR各社のホームページなどで出区点検の様子を確認できる。
以下はJR東日本木更津運輸区のYoutube投稿だ。
電車の留置や派出所、操車場での入れ替え作業
客扱い(客を乗せた電車の運転)を終えた後も、派出所や操車場の中で線路の入れ替えや留置作業をおこなっている。
こういった操車場には、操車担当と呼ばれる方に引継ぎを行って電車の入替作業・留置作業をしてもらうこともあるが、場合によっては自身で入れ替えを行う。
入れ替えとは、電車の発着がしやすいように、留置場内の電車を整理すること
作業の合間が休憩時間になっていることも多く、電車の運転台で食事や休憩をとることもある。
次の運転のために集中力を切らさないことが大事。
異常時、緊急時の列車防護やお客様救護
天候不良や人身事故などで頻繁に電車が遅れたり、運転取り止めしたりすることは知っていることと思う。
このような場合、運転士は司令員と情報やり取りを行い、電車の遅れ案内や運行状況を説明する。
万が一人身事故が自分の電車で発生した場合、車両の確認や警察との事情聴取にも応じるなど、対応はかなりハード。
人身事故に遭遇したショックや疲労で乗務員を降りる人は結構多い
電車運転士はきつい?やめとけ?【メリット・デメリット】
ここまで電車の運転士の仕事を紹介したが、そもそも電車の運転士にはどのようなメリット・デメリットがあるのか気になる人もいるのではないか。
この章では、電車の運転士の魅力・メリットと厳しい点・デメリットを解説する。
電車運転士の魅力・メリット
・平日、休日問わず休みが多い。シフトの自由度高い
・一人の時間が多いので、慣れれば非常に楽
・基本給+5~8万円/月の乗務員手当で幸せ(会社・地域による)
・どれに乗ったら早く目的地に着くか感覚的にわかるようになる
・運転士や車掌は子供の憧れ
この中からいくつかみていこう。
一人の時間が多く、良い意味でマイペース勤務
運転士は基本的に孤独な仕事だ。
始業点呼を終えてから、電車により運転、休憩、睡眠、泊り明けの運転、終業点呼に至るまで、何もなければ大して人と関わる必要がない。
思えば筆者自身が運転士だった頃、「先輩運転士は明るくやんちゃなタイプ」か「物静かで真面目なタイプ」の二極化を感じていたが、後者にとっても一人でじっくり運転技術を磨ける運転士は天職だったのかもしれない。
平日休日問わず休みが多く、シフト自由度高い
駅員と同様に日勤に加えて泊り勤務があるシフト制のため、平日休みが得られることが多い。
さらに駅員の勤務と異なり、午後始業の泊まり勤務や朝8時に終業となる泊まり勤務など、自由度が高い。
朝8時終業の勤務ともなれば実質泊り明けの日は休みみたいなもんだから、3連休を作るくらい簡単だ。
こういったシフト体系のため、運転士同士で食事に行ったり、泊り旅行にいったりと交流が深まることも多い。
給料も駅員時代に比べると増えるから、ギャンブルや浪費しなければ生活に苦労することもないはず。
運転士時代の勤務が一番余裕あって好きだった
電車運転士のきつい点・デメリット
・不安定な勤務 (泊り勤務明けは眠すぎて何もできない)
・アルコール検査があるため乗務前夜は飲酒できない
・人身事故にあうと現場処理が地獄
・長期休み(夏、冬、GW)は基本的にない
・研修期間中は基本給のみ(残業ほぼ無し)。駅で働いてた頃より給料減
もちろん良い面もあれば、悪い面もある。
特につらいのが異常時 (人身事故や天災)の対応。
異常時対応 (人身事故・天災)
鉄道勤務経験のない人も、一度は電車のダイヤが乱れている状況にであったことがあるのではないだろうか。
電車を運転していると時に異常時に遭遇することがある。
・人身事故
・客同士のトラブル(喧嘩、痴漢)
・自然災害 (地震、強風、積雪、台風)
・踏切確認や信号機トラブル
こういった時、運転士は輸送指令、車掌とコンタクトを取って、現状を報告したり、次の行動の指示を仰いだりする必要がある。
自分の運転する電車で人身事故が発生した場合は、自分自身で現場の確認に行く必要もあり地獄だ。
一度だけ経験したが、その日は精魂ともに尽きた
いつか起こるかもしれないとある程度は覚悟をしていたものの、事故処理が終わった後も警察に対してブレーキ位置やスピードなど人身事故が起こった時の状況を細かく説明する聴取があったため疲れる。
しかも、何年運転士やっていても遭遇しない人もいれば、1日に2件遭遇する人もいるくらいなのでこれは運としか言えない。
電車の運転士の職場環境・年収事情
電車の運転士の職場環境や年収事情についても簡単に触れておこう。
電車運転士の給料は安い?給与の実態
職業情報提供サイト(日本版O-NET) JobTagによると、全国の鉄道会社運転士の年収平均は593.1万円 (平均年齢41.3歳)となり、日本の平均給与461万円(国税庁)に比べるとやや高い数値となっている。
593万円を分解すると月額総支給額は40万円、ボーナスは年間115万円ほどということになろう。
独身者の場合、手取り30万円前後ということになる。
乗務手当や遠隔地手当と呼ばれる手当が基本給+5~8万円くらいつくのがデカい
筆者は経験したことがないものの、新幹線の運転士はより高度な技術や経験が必要になること、遠隔地手当が跳ね上がることによって、平均年収が600~800万円とも言われている。
現業勤務で頑張りたい人にとっての最終ゴールが新幹線の運転士なのかもしれない。
昇進・昇給の実態と評価制度
しかしながら、単純に運転士をしているだけだと基本給の上昇はほとんど見込めない。
そこから給料を上げたいと思ったら、現業として成り上がりを目指す必要がある。
- 指導操縦者(見習いを指導する側)を目指す
- 業務研究発表で成果を出して、他の運転士と差別化
- 支社や本社で別の経験を積む
- 上記経験を活かして係長・助役試験に臨む
役職者になるまでの道のりは果てしないが、運転士として一生を過ごすことに不安を感じる社員は、このようなキャリアを考えるのも一つかもしれない。
運転士の職場環境と評判
鉄道会社の職場環境はどこも決して優れているとは言えない。
運転士の場合、自分の所属する電車区・運転区を離れ仮眠や休憩をとるため、本当に小屋のような詰所で休憩して次の乗務に備えることもある。
大企業の大ターミナル駅だから綺麗とか、まったく期待しない方が良い
まあ休憩も長くて1時間くらい、宿泊所も数時間しかいないので環境が劣悪だ、周りがうるさい、熱い寒いなんて言ってる余裕もないが。
合わせて気を付けるべきは、運転士は時間が有り余っていることからパチンコ・スロットなどのギャンブルにハマりやすい人が多いので、流されやすい人は誘惑に注意した方が良い。
女性の電車運転士の働き方と悩み
言うまでもなくJR本州3社や大手私鉄では女性の電車運転士も一般的で、それは10年以上前も変わらず。
当時積極的に女性用の設備や分煙化を進めていた時代だったので、今は女性だからと運転士職場で働きづらいということはないはずだ。
場合によっては日勤だけの運転士シフトも用意されており、家庭との両立もしやすいのではないかと思う。
筆者が運転士をしていた頃、結婚して、産休育休した女性運転士は、穂トンと乗務員から駅や支社等日勤しやすい業務に配置換えされていた
生涯運転士でい続けるというのは、自身のライフスタイルとも相談しながらになるだろうが、決してできない状況ではない。
電車の運転士になるには?向いている人は?
入社後、どのように電車の運転士になるのか、そもそも電車の運転士はどのような人に向いているのかをまとめる。
電車の運転士になるステップ
一般的には入社直後に電車の運転士として乗務員区に配属されることはない。
鉄道職(現業)採用の場合、入社後のキャリアはこのようなイメージでとらえると良い。
入社後の研修を終えた後は駅に配属
出札、改札、輸送・運転といった仕事をこなす
駅を2~3年経験後、1か月ほどの車掌研修、車掌区に配属される
鉄道職(現業)採用の場合は入社3年目以降で車掌になる
総合職の場合は、駅で一年くらい働いた後に車掌または運転士
車掌を1~2年ほど経験後、運転士の研修(3か月くらい)
学生時代に戻ったかのような運転士研修で学びなおし
・電車運行の基礎
・鉄道用語
・電車の点検に関する知識
・レール・電気系統・物理の知識
現業採用であれば入社4-5年目で運転士研修に入るイメージ
研修後、乗務員区に配属
半年~1年弱の見習い期間を経て独り立ち
まずは親方・師匠と呼ばれる、指導操縦者への挨拶
指導操縦者と共に、実際の乗務員行路で運転や留置、入れ替え、点検を行い、運転士として必要な知識・行動を体に染み込ませる
晴れて動力車操縦者免許を取得し、何度か線見(ひとりで運転するための最終準備)したら、晴れて独り立ちだ
総合職で入社して運転士をする場合は、駅で1年、その後すぐに研修。つまり早い場合、入社3年目でもう運転士をしている
すぐに支社や本社、指令など次の職場に異動となるから、一人で乗るのは長くて数か月だけどね
電車の運転士に向いている人は?
- 冷静な判断力: 緊急事態においても冷静に判断し、適切な行動を取ることが必要。
- 高い集中力: 長時間の運転中にも集中力を維持し、周囲の状況を常に把握することが求められる。
- 自己管理能力: 不規則な勤務時間や生活リズムにも対応できるよう、自己管理能力が必要。
- 機械に強い: 電車の構造や機能について理解し、適切な操作ができることが必要。
- 安全意識・責任感: 乗客の安全を最優先に考え、安全に運転する責任感は重要。
電車の運転士に向いている人・性格は以上を持ち合わせた人間だ。
入社後の研修や見習い乗務の中で、経験や感性は磨かれていくが、例えば自己管理能力が低い人はいつまでたっても動力車操縦者免許が取得できなかったり、独り立ちしてもミスしたりとかなり厳しいはずだ。
自分自身が運転士に向いているかどうか、そもそもどんな仕事が向いているかは以下の記事で紹介する自己分析ツール・適職診断ツールが役に立つかもしれない。
無料で時間もかからないので、合わせてやってみてほしい。
電車の運転士の退職理由や悩みは?
筆者は別の記事で「電車の運転士の退職は少ない」と書いたが、たしかに10年前くらいは鉄道会社の運転士が退職するという事例は非常に少なかった。
それでもコロナ前後からかなり多くの運転士が辞めているようで、SNSでもそのようなツイート・ポストを目にするようになった。
どんな理由で辞めていくことが多いのだろうか。
日本の鉄道業界の今後と将来性
ニュースを見ている方ならお気づきのとおり、鉄道会社は儲かる線路と儲からない線路がかなり明確に分かれており、儲からない赤字路線の負担は年々増している。
特に広範囲な赤字路線を有するJR西日本もJR東日本も路線存続に向けた具体的な検討を開始し、いよいよ業界全体として鉄道事業が縮小傾向になるのは明らかだ。
人員もダイヤも見直され、少ない運転士一人ひとりにかかる負担が増えているという状況なのである。
こういった将来性の面、また業務負担(に対する対価の少なさ)から別のキャリアを考え始める人が一定数いるようだ。
近年鉄道会社から退職する理由として最も多いものではないだろうか。
体調・精神面の不安
運転士の不規則な勤務や人身事故等ストレスがかかるイベントに疲弊して退職を考える人もいる。
不規則な生活をしているうちに体に異常が見つかって、運転士から内勤になった人もかなりいたので、長年乗務をしつづけるというのは自己管理ができる人でないと難しいのかもしれない。
後は女性が結婚や妊娠を機に乗務できないようになりそのまま退職ということも
変化や昇給が見込みにくい勤務体系
先述したが、運転士という仕事はある程度安定した給与が見込めるものの、経験や昇給という面では選択肢が少ない。
それに相まって、古くからの企業体質が残っている職場にうんざりし、より金銭面でもキャリアの面でも成長が見込める企業に転職していく人も多い。
鉄道会社としてキャリアを続けるか、違う道に進むべきか、迷ってしまった場合、ポジウィルキャリアのようなキャリアコーチングで、誰にも言えない悩みを相談してみることをおすすめする。
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電車の運転士はきつい?やめとけ?【まとめ】
この記事では「電車の運転士はきつい?やめとけ?」というタイトルで、電車の運転士の仕事内容や退職理由について解説した。
- 電車の運転
- 電車の出区点検(出発前の点検)
- 電車の留置や操車場での入れ替え作業
- 異常時、緊急時の列車防護やお客様救護
電車の運転士にはメリット・デメリットそれぞれある。
・平日、休日問わず休みが多い。シフトの自由度高い
・一人の時間が多いので、慣れれば非常に楽
・基本給+5~8万円/月の乗務員手当で幸せ(会社・地域による)
・どれに乗ったら早く目的地に着くか感覚的にわかるようになる
・運転士や車掌は子供の憧れ
・不安定な勤務 (泊り勤務明けは眠すぎて何もできない)
・アルコール検査があるため乗務前夜は飲酒できない
・人身事故にあうと現場処理が地獄
・長期休み(夏、冬、GW)は基本的にない
・研修期間中は基本給のみ(残業ほぼ無し)。駅で働いてた頃より給料減
このような電車の運転士の主な退職理由についても解説した。
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電車の運転士になること、それを長年続けることには向き不向きもあるため、もし運転士になりたいという人がいれば適職診断ツールを有効活用して、向いているか事前に調べることをおすすめする。
既に電車の運転士と働きながらも将来に不安がある場合は、以下も合わせて覗いてみるとよい。
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当ブログでは、元JR総合職を退職した筆者の転職体験談も載せているため気になる方は他の記事も読んでみよう。