JRや私鉄の総合職で活躍したいけど、きついみたい。
避けた方がいいかな?
今回はこのような疑問に「元JR事務系総合職として駅員、運転士、支社本社勤務を経験した筆者」が解説する。
「やめとけ・きついと言われる理由」と「鉄道総合職のメリット」の両方を実体験や評判とともに解説するので、このキャリアを選択するかどうか迷っているあなたにとっての判断材料になれば幸いだ。
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鉄道総合職きついやめとけと言われる理由
結論、鉄道総合職はきつい。
入社前に企業パンフレットや採用担当人事から伝わるような華やかな仕事が実現できる可能は「低い」。
鉄道総合職がキツイ・やめとけと言われる理由を、JR事務系総合職として勤務してきた筆者が理由を書いていく。
年功序列な社風で成長が阻害
鉄道総合職は採用系統によっては入社後に鉄道現場での研修を受け、最大で3年ほどを過ごす。
そこからようやく支社、そして本社といった業務に配属される。
そのキャリアは大体勤続年数によって決まることが多く、能力や実績に応じた評価や昇進は期待しづらい。
遅刻やさぼり、明らかに同期と能力面で劣っていない限り、入社十年目くらいまでほとんど差がつかない。
管理職に近づく年齢になると、そこにはバブル時代以降に入社した「おっさん課長」「おばさん課長」が大量に存在し行く手を阻んでいる。
メンバーシップ型雇用の典型業界だから、専門性や特別な能力を個人として伸ばすキャリアを作りにくい
特に若手社員ほど、成長やモチベーションを重要視すると思うが、自分の能力やアイデアを発揮でいないと感じる社員は、やりがいや自己実現を求め他業界に転職しがちだ。
入社難易度と給与は比例しない
入社難易度≒給与水準
総合職は筆者の知る限り、入社難易度がかなり高い。
旧帝大や最低でもMARCH・関関同立レベルの大学卒業が必要で、外資金融、デベロッパーや総合商社を狙う同期もいるだろう。
鉄道総合職は間口が狭いことから入社難易度は高く、エリート感から価値を感じる人も一定数いるが、その反面給与水準はかなりしょぼい。
SNSで就職・転職相談をしているが「30歳くらいで1000万円くらいですか?」といった質問が学生から出るくらいなので、意外と正しい情報は伝わっていないのかもしれない。
過去の話にはなるが、JR本州3社であっても30歳で650~700万円、35歳で800~850万円いけばいい方なのではないかと思う。
平成一桁入社の人たちは30ちょいで課長になってたわけだから、もっと待遇良かった
課長職以上の年収も、一般的な大手メーカーと同等なので、給与面で惹かれて鉄道会社総合職にはいるのはやめておいた方が良い。
総合職でも現場勤務は当たり前
現業職は現場、総合職はオフィス勤務といった幻想はまさかもっていないだろう。
先ほど述べたように多くの新入社員は駅係員や車掌、運転士などの現場経験をする。
これが第一関門。
学生の延長のような生活を送ってだらけはじめるものもいれば、成長実感の無さに不安を覚える者。
当然、与えられた業務の中で精一杯成長しようとしている者もいる。
しかし、その間、普通の事業会社に入った学生同期は着実にビジネス社会を生き抜いている。
社会人としてこのままでいいのだろうか、そういう考えを払しょくし、日々の業務の中で総合職として求められる行動をする必要がある。
そして、支社や本社勤務を経て、管理職手前。
再度駅で係長や助役、駅長・運転区長として突然現場勤務に戻ることがある。
これが第二関門。
ベテランの域に入り家庭を持った矢先、不規則勤務や異常時に対応しなければならない。
落ち着いた生活とは一変して、会社携帯を肌身離さず持っていなければならないストレス。
もちろん以降キャリアを積んでいっても、いつ現場で働くことになるかは予想できない。
内向きの仕事が多い
鉄道総合職は、鉄道会社の広大なフィールドを活用し経営や事業に関わる幅広い事業を担うが、一人ひとりの頑張りだけでは仕事が前に進まない。
そして、その仕事が公共交通機関としての役割・社会的責任を果たしているか、国から、利用者から、厳しいチェックが入る。
社員管理や文書管理、掲示物管理がほんの少しエラーするだけで、プレスリリースとなる可能性も。
こういった監視の下で、鉄道総合職は入社前には思ってもいないような細かな調整業務を行う。
このような自体を避けるため、鉄道総合職は会社内でしか通用しない知識や経験をし、ルールに従うことでスキルや視野が狭まっていく可能性がある。
想像していた社会人生活を送ることができていないという感覚こそ、鉄道総合職がきつい・やめとけと言われる原因でもある。
やめとけと言われる鉄道総合職として働くメリット
「きつい」「やめとけ」という声があるものの、鉄道会社の総合職にはメリットもある。
利用者との距離が近く感謝されることも多い
一般的な事業会社で総合職として働いていると、自分の目の前に不特定多数の顧客(ユーザー)が見えることはあまりない。
それこそ交通機関の現場や接客サービス業くらいなもので、いくらBtoCの製品を扱っていてもユーザーから直接感謝される機会は多くないはずだ。
鉄道会社総合職の場合、現場経験の機会も多いため鉄道や施設を使うユーザーから感謝の言葉をもらうこともあり、仕事のやりがいにつながるだろう。
現業勤務を頑張れたのは、感謝の声や鉄道好きの子供からの視線だったりする
地域や国の発展に貢献できる仕事のスケール感
総合職として3年ほど経つと多くの社員は現場ではなく、支社・本社勤務の機会が訪れる。
支社・本社の仕事の一部は、テレビでよく目にするような国や地域を代表するような大規模プロジェクトも含んでおり、そういった事業に貢献できるというのは間違いなくやりがいの一つだ。
総合職を志す学生の志望理由は大体これよね
(実際には、その仕事の下準備とか調整業務であり、決して華やかな仕事ではない。)
それでも、筆者自身転職後に自分自身が手掛けていた仕事の後や成果を見ると、結構大きな仕事をしていたのだなと思うことも多い。
比較的早い段階で部下を持てる
鉄道会社総合職は早ければ31~32歳くらいに係長級まで到達できる。
特に技術系総合職が早い傾向
はじめは3-4人程度の小さな係から受け持つことになるが、それでも一般的な会社ではまだ担当~主任になりたてくらいの年なので、早い段階で部下を持てる経験はキャリアの中で良い経験になるはずだ。
このほか、鉄道会社で働くメリットとデメリットについては以下の記事でもまとめているので、興味があれば読んでみてほしい。
きついと言われる鉄道総合職の評判・筆者経験談
鉄道総合職のSNSの評判について調べてみた。
鉄道会社で働いている者、鉄道会社の友人知人を持つ者のポストだが、大まかな評判は以下のとおり。
・総合職も学生時代の同期と比べると低所得
・派手な仕事はできない場合あり、心身病むケースも
・安定ホワイト企業イメージは過去のもの
鉄道総合職【SNSの評判】
総合職の口コミをまとめてみたので良ければ目を通してみてほしい。
良い評判を何とか見つけようと思ったものの本当に無く、部外者の想像による良いイメージ(幻想)だけが散見されたため掲載を省略した。
元鉄道総合職の筆者自身の経験
筆者自身は事務系総合職として、駅員、運転士、支社、本社、と総合職として一般的なルートを歩んできた。
大きく分けると3年目途中までの現場経験とそれ以降の間接業務経験。
現場では「総合職」として駅長以下から便利屋的にいいように使われ、企画旅行、新入社員とりまとめ、業務研究から勉強会まで、業務時間外もかなりの時間を費やし仕事をしていた。
残業代稼げるし、どうせ時限的なものだし、と割り切っていた
きつかったのは支社・本社時代だ。
当時はまだ国鉄世代の社員が多く、「ロジックより気合と根性と勢い」で仕事をすることが多かった。
現場と支社本社トップからの食い違う意見や無駄なやり取りを、経験浅い筆者らが朝7時から現場を巡回して駅長に頭をぺこぺこ下げながら説明。
犯人捜しのような仕事に、ユーザーや社員のことを考えない施策の導入。
おまけに誰がどう見てもパワハラ発言なのに、トップは見て見ぬふり。
業務内容も、体力的にも、精神的にもきつかったというのがまぎれもなく本音である。
その後2回転職して、やはりあの時は異常だったと断言できる
鉄道総合職の主な仕事・役割
各社状況は異なるが、一般的に鉄道総合職は事務系 (鉄道事業)、事務系 (開発事業)、技術系総合職の3つに分けることができる。
事務系総合職の仕事・役割
1. 鉄道事業(運輸・鉄道)
- 運行計画の策定
- 乗客サービス改善
- 収益最大化戦略
事務系鉄道事業の場合、このような仕事が一例として存在する。
時刻表や列車運行の最適な計画を策定・調整し、効率的で利便性の高い鉄道運行を確保する運行計画策定。
乗客の利便性向上を図るための列車や駅における施策やサービス提案、改善をする「乗客サービス改善」。
列車を運行する地域での料金体系やキャンペーン企画・実行により観光客誘致を行う営業戦略も立てる。
2. 開発事業(不動産・新規事業)
- 不動産開発プランニング
- 新規ビジネス企画
- 提携・協業交渉
ご存じのとおり、近年は自社エリア外や国外にも鉄道会社の不動産やホテル事業が進出しているが、これらは総合職の開発事業が主体となって行っている。
土地利用に関する外部企業や関連団体との協議・協業を通じた戦略的な連携も担当する。
学生に最も人気なポジション。
ただしこれを遂行するには、頭の固い内部の人を動かすというとてつもないハードルが。。
技術系総合職の仕事・役割
技術系総合職としての仕事内容や役割の事例を紹介する。
1. 車両技術
- 新型車両導入
- 車両保守・改修計画
最新技術の車両導入に伴うプロジェクトマネジメントや性能評価を担当したり、車両の安全性や耐久性を確保するための保守・改修計画を策定・実行したりする。
場合によっては車両メーカーへの出向を命じられることも。
2. システム開発
- 駅構内システム改善
- スマートモビリティプロジェクト
駅の案内システムや券売機、自動改札などのシステムを改善・更新する仕事が現場に近い仕事。
他にもIoTやAIを活用した新しいモビリティサービスの開発・実装に参加する仕事も増えてきており、ここ10年くらいは各社「IT部門採用」と呼ばれる採用ポストを設けている。
ホワイトカラー感に見合わず、普通に駅や車掌、運転経験もする
3. 保安・安全技術
- 安全基準整備
- 災害対策プラン
適切な保安基準を策定・整備し、その遵守を確認して事故予防に努める仕事が保安・安全技術である。
具体的には電気、信号、通信、土木といった部署が存在する。
したがって、地震や天候などの異常事態や老朽化に備え、災害対策プランの策定もおこなう。
4. 建築技術
- 橋上化工事・バリアフリー対策
- 新駅計画
筆者自身関わってきた経験上、建築部門は技術系総合職の中でもエリート部署だ。
仕事の役割をみてもわかるとおり、かなり大がかりな工事計画を中心になって回していく役割が求められる。
確実に忙しい部署ではあるが、手がけるものを形に残していくという意味ではやりがいになるだろう。
もちろんちょっとした修繕も対応するので、どの部署・課に配属されるかでかなり仕事内容に違いはある。
鉄道会社総合職きついと感じる人、向いてない人
- 鉄道総合職=まったり高給ホワイトを信じている人
- 現場で働く社員を下に見ている人
- 自分にしかない専門知識を駆使して出世したい人
- 派手なことが好き、地道な努力が苦手な人
- とにかく電車オタク。運転士・車掌に憧れている人
ここまでなぜ鉄道総合職がきついかや、逆にメリットは何か、どんな仕事内容なのかを紹介してきた。
最後に鉄道総合職として働くにはきついだろうな、向いていないだろうなという人をランキング形式で紹介する。
もし、読者のあなたが鉄道会社で働いていて適正に悩んでいる、入社するかどうか迷っているのであれば参考にしてほしい。
合わせて、以下で紹介する適職診断もぜひやってみよう。
登録無し、無料のものもたくさん紹介している。
5位 鉄道総合職=まったり高給ホワイトを信じている人
転職会議やOpenworkによって社員の声が就活生や転職希望者に伝わるようにはなったが、未だに鉄道業界イコール(まったり)高級ホワイトという声を信じている人がいる。
オフィス業務をいかに経験しても、まったり・高給・ホワイトの3つを満たす要素が見つからない。
総合職の若手は上司・関係者への丁稚奉公を欠かすことはできず、36協定をにらみながら残業。
働き方改革導入以前の話、部署によっては20-30代の若手は22時退社がデフォという時代もあった。
収入だって、総合職として入社するくらいの大学を出ていたら他の企業で働く同期に比べ劣る可能性は高い。
もちろん日本の平均年収と比べたらマシだと思うけど、そこは基準じゃない
管理職が見えてくる30代後半から年収1千万円が見えてくるが、正直もっと楽して高給ホワイトにたどり着く方法はいくらでもある。
「まったり高給ホワイト企業」を狙って鉄道業界を目指すのであれば、痛い目に合う。
(さすがに今のご時世、いくらでも情報を得られるから心配ないと思うが)
4位 現場で働く社員を下に見ている人
「現場社員を見下す態度や言動をとる鉄道総合職」、「エリート意識が強い鉄道総合職」意外といる問題。
入社後の研修を除けば、現場で働くことはないし、ツラいのは最初の数年だけだよねと思っている方も、未だにいる。
しかし、鉄道会社の組織規模は外から見える以上に巨大。
オフィス業務になっても現場と協力する機会だらけだ。
たとえ開発事業が伸びてきたとて、鉄道会社の経営の基盤は鉄道事業。
朝礼、点呼、有事の現場応援だけでなく、多くの間接業務で現場の安全をサポートする必要がある。
何歳の時に、いつ駅や乗務員区へ異動になるかもわからないため、総合職はエリート・現業はソルジャーという考えは絶対にしてはいけない。
3位 自分にしかない専門知識を駆使して出世したい人
人事、開発、経営企画といったコースが鉄道会社出世の王道。
と思いきや、総合職社員の知恵だけで進められる仕事はあまりない。
結局、現場・グループ会社の社員とのかかわりは避けられず、考え方や方針をいかに現場レベルまで浸透させるかが仕事の成果につながる。
専門知識が役に立つ場合もあるが、それ以上に人を巻き込んでいく力の方が重要。
そういう人は鉄道会社やメーカーなど現場や工場を持つ仕事向いてない
一度支社や本社で仕事するようになれば、否が応でも多種多様な社員や関係者を巻き込んで仕事をしないと話にならないので、なるべく早く経験して、伸ばしていきたい。
2位 派手なことが好き、地道な努力が苦手な人
面接や面談でやりたい仕事や野望を表現することは大事だが、それができないからと不貞腐れてはいけない。
例えば、「沿線開発や観光キャンペーン」「駅ビル・不動産」「新駅や新型列車開発」は就活生からも良く挙がる華やかな仕事。
採用ホームページで紹介される社員もきらきらと華やかな一日を過ごしているように見える。
でも実際のところ、ひとりひとりが社内でやっている仕事はめちゃくちゃ地味。
実際は内部資料の「てにおは」を詰められたり、役員のスピーチを修正している地味of地味な仕事の連続。
地道な努力や地味な経験なしに目標達成は難しいことをあらかじめ理解できる人でないと長く働くことは難しい。
1位 とにかく電車オタク。運転士・車掌に憧れている人
あえて書かなくてもいいかなとも思ったが、総合職の場合度が過ぎる鉄道オタクは面接ではじかれる可能性が高い。
「鉄道が好き、もっと便利な鉄道を作りたい」このような志ならウェルカムだが、いわゆる鉄オタ前回の人は周りにいなかった。
総合職として会社の収益アップに貢献することとベクトルずれるからね
休日も運転士や車掌の仕事をジーっと見ている人は、素直に現業採用で入社するのがおすすめだ。
鉄道総合職はきつい?やめとけ?向いてない人は?【まとめ】
この記事では鉄道会社総合職がどのような理由できつい、やめとけと言われるのかを元JR総合職の筆者が解説した。
正直に言えば、鉄道会社総合職として成し遂げたいことがない限り、主観的にも客観的にもおすすめができないという結論にはなる。
少子高齢化や働き盛りの退職、人口減と、鉄道会社を取り巻く環境は一層厳しいものになってくるが、自分なりにメリット・デメリットを理解した上で、働く志を持っているのであれば頑張ってほしい。