JRや私鉄の総合職入社は勝ち組?
どんな人が求められているの?
元JR本州で事務系総合職として働いていた筆者が、JR東日本・JR東海・JR西日本をはじめとしたJRや東急・小田急・阪急などの私鉄総合職が勝ち組、宝くじレベルなのか、なぜそう言われるのかを解説。
さらに、それら大手鉄道会社の総合職に求められる人物像をまとめた。
新卒・中途入社で鉄道会社総合職として働いてみたいと思った人、働いているけどいまいちしっくり鉄道の仕事が理解できていない。
そんな方に読んでもらえると嬉しく思う。
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JR・私鉄総合職は勝ち組・宝くじなのか?
「総合職 勝ち組」とか「総合職 宝くじ」と検索する人の大半は、自分が働く予定、働くことを目指す総合職がそうであってほしいという気持ちが本音だと思う。
そんな読者に早速結論を伝えたい。
JR・私鉄総合職は「宝くじレベル」ではあるが、決して勝ち組ではない。
正直今の時代「どうなれば勝ち組」「あれをしたから負け組」など決まった答えがないのが事実だが、少なくとも鉄道総合職に選ばれたこと=人生勝ち組とはならない。
そしてもう一つの「宝くじ」について、採用難易度が無駄に、非常に高いことを考えると、日本でJR総合職・私鉄総合職に内定できるのは宝くじレベルと言っても言い過ぎではない。
メーカーの総合職なんて年間多いところで1000人近くになるが、鉄道会社は多くても100人程度だ
そのような狭き門を潜り抜けた鉄道総合職には、もう少し「勝ち組要素」があってもいいと思う気持ちは置いておいて、求められる人物像について詳しく解説していく。
JR・私鉄総合職が勝ち組・宝くじと言われる理由
まず、JR総合職や私鉄総合職が「勝ち組」だ「宝くじに当たるレベル」だとか、「エリート」だと言われる理由を知るべきだ。
これらは、部外者が総合職に対するそのイメージで語っている部分が多い点、認識してもらいたい。
勝ち組と呼ばれる理由
- 安定性と高給
- 社会貢献度の高い仕事
- 高いステータス性
安定性と高給
大手企業の中でも、JRや大手私鉄は特に安定性が高い企業として認知されているのは周知の事実。
倒産リスクが低く、景気の影響を受けにくい業界であったことから、長期的な雇用が期待できる、と言われる。
また給与水準・福利厚生も充実しており、生活の安定を図りやすい環境と考えられている。
あくまでイメージ。気になる方は上で紹介した記事もどうぞ。
社会貢献度の高い仕事
人々の日常生活を支えるインフラを運営・管理する仕事に携わることができ、社会貢献度の高い仕事であるという自負を持つことができる。
研修という名の現場時代は、駅係員や運転士など、直接利用者と接する仕事も多く、利用者から感謝の言葉をかけられることも少なくない。
高いステータス性
JRや大手私鉄の総合職は難関試験を突破して採用されるため、高いステータスを持つ職業として世間からは認識されている。
友人、家族・親戚からも尊敬され、自信に繋がることも多いかもしれない。
宝くじと呼ばれる理由
- 厳しい選考基準
- 高学歴社会
厳しい選考基準
JRや大手私鉄の総合職は、筆記試験や面接など、厳しい選考過程を経て採用される。
多くの応募者の中から勝ち抜くためには、高い学力だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力など、様々な能力が必要だ。
さらに、鉄道会社(特にJR)の採用計画の中でも総合職の新卒社員は非常に少ない。
このことからも、JR総合職・私鉄総合職として採用される人は宝くじに当たるレベルと言われる。
新卒採用計画 | 総合職 | エリア職・プロ職 | その他 |
---|---|---|---|
JR東日本 | 50 | 330 | 重点成長分野で100人 |
JR東海 | 60 | 370 | |
JR西日本 | 70 | 770 | |
東急HD(2020年) | 43 | 約100 | 総合職は東急HDとして |
小田急(2023年) | 10 | 24 | |
近鉄グループ(2022年) | 不明 | 38 | |
阪急阪神HD | 47 | 不明 |
私鉄総合職は持ち株会社採用となるため、この中から数人が鉄道事業に出向という形になる
高学歴社会
JRや大手私鉄の総合職は、従来より難関大学出身者が多く、高い学歴を持つ人材が集まっている。
東京大学や京都大学などの旧帝大出身者や早慶レベルがボリューム層であり、学歴社会における「エリート」層から選抜された集団であることから、一般社会の中では宝くじレベルと表現されることもある。
JR・大手私鉄総合職で勝ち組になるための人物像
JR本州3社と私鉄大手売上上位3社のホームページから、総合職を中心とした求める人物像を確認する。
先に答えを出すと、各社で使われるキーワードは「①リーダーシップ&調整力、②課題設定力&目標達成力、③自律心」の順で多い。
地頭の良さが重要(JR西日本の経営視点やJR東日本の柔軟な思考力)のに対して、私鉄は探求心や創造力、希望などの心構えを大事にしているようだ。
会社が鉄道業界が求める人物像に自分自身を近づけていくことで、高学歴の同僚から一歩抜け出し、勝ち組に向けて一歩前進できるかもしれない。
JR東日本
1. 高い専門能力を持ちながらも、変革を恐れることなく、いかなる環境にも対応できる柔軟な思考力。
2. 自ら課題を設定し、社内外のさまざまな関係者と調整を行いながら、プロジェクトをマネジメントし、目標を達成する能力。
3. 新たな領域に自ら進んで挑戦し、JR東日本グループの無限の可能性を率先して追い求める熱い探究心。
総合職|採用情報:JR東日本
JR東海
他社と違い明確な求める人物像の記述はないが、人事メッセージによれば下記のような人材が求められるようだ。
1. 「これからのJR東海、ひいてはこれからの日本を自分たちの手で守り、創っていく。世界の高速鉄道の最先端を切り拓いていく。」というような気概を持っている方
2. 自らの頭で考え、自らの身体で行動する「自律的」な人
3. 自分の長所を伸ばすとともに、つねに「何かを成し遂げよう」というエネルギーに満ちた人
人事部からのメッセージ
JR西日本
使命感
鉄道事業をはじめ、物販・飲食、ホテル、ショッピングセンター、不動産といったさまざまな生活サービスを通して「人々が出会い、笑顔が生まれる、安全で豊かな社会」を実現するというJR西日本グループの社会的使命を理解し、共感できる人
覚悟・志
不確実性の高い時代に経営を担う重責を認識し、自らが当事者となって安全で豊かな社会づくりに寄与し当社グループの持続的発展を担う「覚悟」と「志」を備えた人
経営視点
経営環境の変化を的確に捉え、当社グループの持続的発展に資する経営ビジョンを描き、「地域価値」「線区価値」「事業価値」の向上にリーダーシップを発揮できる人
創造力
既成概念にとらわれることなく、新たな価値やビジネスを創出することに挑戦できる豊かな「創造力」を有する人
推進力
目標達成のために組織を束ね、内外のステークホルダーの皆様に理解を得ながら事業を推進し成果を最大化することができる人
JR西日本 求める人財像
東急株式会社
東急バリューという愛称のもと、「従業員一人ひとりが共有すべき価値観と求められる行動」として3つの「志」と5つの「行動」が策定されている。
「志」:顧客価値(お客様が求める価値を追求し続ける)、共創(互いを認め合い、知恵を終結させて連携を進める)、挑戦(常に新しい価値の創造に向けて突き進む)
「行動」:考える、すばやく動く、対話する、やり抜く、学習する
東急バリューを発揮する人材|東急株式会社 新卒採用 (tokyu-recruit.jp)
近鉄グループHD
昨年は「AIやIoTによる社会構造の変化に興味がある人」や「スポーツや文化に秀でた自覚のある人」といったスキル面の記載があったが、今年の総合職募集採用要項は以下に変わっていた。
●何かおもしろいことはないか常に考えている
経営理念・会社概要 | 近鉄グループホールディングス
・好奇心旺盛で、変化を楽しめる。
・常に物事を前向きに捉え、夢を描ける。
● 簡単には諦めず、最後までやり遂げる
・自分自身が納得し強い思いが持てるまで考えて考え抜ける。
・当事者意識を持って取り組める。
・様々な手を考えて、もがける。
● 地域への貢献を意識しながら、収益を生み出せる
・社会貢献を意識して、仕事に取り組む。
・仲間との協働により、より大きな成果を目指せる。
阪急阪神HD
阪急阪神ホールディングスの求める人物像はシンプルだが、この3点をベースに強い個性を求めているよう。
誠実に、向かい合う
360度、働きかける
志を持ち、挑み続ける
求める人物像 | 阪急阪神ホールディングス株式会社
JR・私鉄総合職 世代別勝ち組として活躍できるタイプ
各社が求める人物像に対し、筆者が勤めた某JRでは7割以上が穏やかな農耕民族気質だった。
高学歴重視なだけあって頭のキレはあるものの、普段はのんびりしていて、いじりいじられ冗談を言ってお酒を楽しむような典型的なサラリーマンが大半。
鉄道会社の中で勝ち組になりたい、出世していきたいという思いが強い方は、各社の求める人物像をベースに、活躍する総合職のタイプを参考に自身の強みを活かしていこう。
勝ち組の定義は人それぞれ。こうじゃなければいけないってことはもちろんない。
活躍できるタイプ<担当レベル>
担当レベルの段階で周囲が評価し、着実に昇給・昇格している人には。共通して以下の3点に強みがある。
① 強い意志・目的意識を持ち、与えられた業務に取り組んでいる
② 仮説・検証のサイクルが早い
③ あらゆる上司との関係性が良好
1つ目の強い意志・目的意識は、入社後の総合職研修の業務改善プレゼンなど、総合職が集まる場で差を実感できる。
与えられた課題をプレゼンするだけの社員もいれば、自分の力で課題設定から解決策までプレゼンできる社員も。
常日頃から職場を変えていきたいという気持ちが入社段階から強い人はすぐに頭角を現す印象だ。
2つ目の仮説・検証のサイクルについても同様、頭の中で考えるだけではなく手足を動かせるタイプが重宝される。
頭の良さはみんな十分高水準なので、大きな差別化要素にはならない。
一方で、頭の中で考えたことを実行・検証できる能力は、他の社員と違いを生み出しやすい。
3つ目、上司との関係性は、鉄道会社特有のべっとりとした人間関係の中で特に重要だ。
入社以降、頭のキレる高学歴上司から勢いのある高卒上司まで、さまざまな上司の元で仕事をすることになる。
多様な上司を前に疲弊することなく、相手の必要とする情報を前もって察知し、提案できる参謀タイプであればある程度までの出世は確約されたと言っても過言ではない。
活躍できるタイプ<幹部レベル>
課長以上の幹部レベルは責任も部下も断然多く、日々の業務は多忙。
後に執行役員人事部長や若くして役員になった切れ者上司と一緒に仕事をしていた中で気づいた共通点は以下。
① 声のトーンにハリがある、歩くのが早い、きびきびしている
② 異常時が発生した時、直接関係していなくても積極的に対応する
③ 役職や年齢関係なく、積極的なコミュニケーションをとる
面白い共通点としては、人の名前を忘れない記憶力の高さ。
一つ目。管理職以降はある程度ガツガツしているかどうかで、課長止まりかそれ以上たどり着けるかがわかれる印象。
二つ目、お祭り男タイプ。
鉄道会社に異常時はつきものだが、休日の人身事故や運休トラブル時にも積極的に会議室に顔を出し、陣頭指揮をとる責任感の強さがあれば、上からも下からも愛される。
三つ目、コミュニケーション能力の高さ。
協力者や味方を作るのがうまいことが、人からの信頼を集め、出世していくために必須なのは言うまでもない。
JR・私鉄総合職は「勝ち組・宝くじ?」求められる人物像まとめ
この記事ではJR総合職・私鉄総合職が「勝ち組・宝くじ」と言われる理由について、そんな総合職に求められる人物像や勝ち組になる素質について解説した。
JR・私鉄総合職は「宝くじレベル」ではあるが、決して勝ち組ではない。
JR総合職や私鉄総合職を希望する人は、「入社すること自体」に勝ち負けを考えてはいけない。
総合職として入ったとしても、辞めることを選ぶことだってある
入ってみないとわからないことも多い。
どうか入社できたから勝ち組・宝くじにあたったなんて思わないでほしい。
適職診断・自己分析ツール等で鉄道会社に向いているかどうか、入社後に後悔しないよう調べておくことをおすすめする。