【寄稿シリーズ ④】天草陶磁器は天草観光の起爆剤


2019年11月開催の天草大陶磁器展(天草市民センター)

新型コロナ禍で、九州一の賑わいをみせる「有田陶器市」の中止報道がなされた。関係者の無念さと嘆きは、はかりしれないものがあろう。

有田焼の原料である陶石は、ほとんど天草陶石である。日本の磁器生産の70%近くは天草陶石といわれている。人間国宝で有田焼の今泉今右衛門さんも、同じく酒井田柿右衛門さんも天草陶石であのすばらしい作品を世に送りだしておられる。

有田焼の歴史は約400年余であり、当初の約100年は、有田の泉山から陶石を採掘していた。しかし、泉山の陶石を取り尽くしたため各地を探し、天草陶石を探し当て、以来300年有田と天草の産業、文化の交流が続いている。

平成12年に天草で開催された第13回県民文化祭は、日本と天草の陶芸文化が中心テーマとなった。ここで、無尽蔵といわれる天草陶石をさらに活かし、特色ある陶芸産地として、島全体が「陶磁器の島」を目指す大会決議が採択されたのである。

天草陶芸家の熱意の高まりと、地域の支援もあって「天草陶磁器」は、平成15年には国の伝統工芸品に指定される。全国200の伝統工芸品の一つに認定されたことは、天草ブランドとして大きな前進であった。

国指定の年から始めた「天草大陶磁器展」は、昨年で16回目、大盛況であった。天草の窯元を中心に九州各県からの参加も多く107の窯元が出展し、県下最大の陶器市となってきている。来場者も5日間で2万3千人。天草西海岸で恒例の〝窯元めぐり〟は、昨年も春・秋で2万人近い来訪者で盛況であった。天草陶芸文化は、天草観光の大きな起爆剤になりつつある。

今年も10月に次の天草大陶磁器展が計画されているが、どうであろうか、心配である。コロナ禍の一日も早い終息を願わずにはおれない。

熊本県文化協会名誉会長 吉丸 良治